無責任極まりない糖質制限否定。 @sixpack00000 氏の場合

ここまで無責任な糖質制限否定は、そうそうあるものではない。

糖質制限は筋肉を減らす?|SIXPACK(シックスパック) | 健康な肉体を作りたい方の為の情報サイト

このような記事が上がっていたので、例によって検証する。

この方の最大の問題点は、糖質制限のメカニズムを何も理解していない、という事実だ。おそらく、自分の体で試してもいないだろう。

 

「炭水化物がないと脂肪が燃えないから主食として摂取するべき」は完全な間違い

記事中に、

クルマに喩えると炭水化物はガソリンの役割であり、ガソリンがないと脂肪は燃えないのです。

 
とあり、だから炭水化物を主食としてしっかり摂取すべきだと論じられているが、これはいったい、どういう理屈だろうか。

 
*****
【2014/3/14 17:02追記】
コメントで、「脂肪の代謝にオキサロ酢酸が必要という話ではないか」という指摘をいただいたので、補足しておく。コメント者も言うように、どちらにせよ、炭水化物を主食にする理由にはならないが。

2014/03/14 15:29 by 明人
「炭水化物がないと脂肪が燃えない」は完全な間違い
とのことですが、このこと自体は正しいと思います。
夏井先生のところにも投稿させて頂きましたが、こちらのサイトhttp://hobab.fc2web.com/sub4-metabolism.htmより、
“脂肪酸分解(β-酸化)により生成されるアセチル-CoAが、TCA回路で代謝(燃焼)される為には、糖質から生成されるオキサロ酢酸が必要(脂肪は、糖の炎によって燃える)。”
という記述があり、生化学的に間違いないと思います。
問題は、糖質制限で入ってくる微量の炭水化物あるいは糖新生によって十分賄えるため、わざわざ穀物を食べて炭水化物を摂取する必要がないということですね。
この記述を書いた人が、糖の炎で脂肪が燃えることをご存じだったかは図りかねますが、批判を糺す目的の人は知っておいた方が良いと思いますのでコメントさせて頂きました。

*****

 
炭水化物(糖質)は、血糖値を大きく上昇させる。ブドウ糖は脳のエネルギー源だが、血中濃度が高すぎれば人体に致命的なダメージを与えるため、インスリンが追加分泌される。

インスリンは、ブドウ糖を中性脂肪に変えて蓄えることによって、血糖値を下げる。つまり、糖質の摂取は、脂肪が増える直接的な要因となる。

同時にインスリンは、すでに血中にある中性脂肪を脂肪細胞内に蓄え、さらに脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制する。さながら冬眠準備のように、体をエネルギー蓄積モードに変えてしまうというわけだ。

ここまでは科学的な事実であり、糖質制限がどうのという問題ではない。

「炭水化物はガソリンの役割であり、ガソリンがないと脂肪は燃えない」どころの話ではないのだ。

正反対である。

炭水化物(糖質)はインスリンの追加分泌を促し、基礎代謝を落ち込ませ、痩せにくい体にしてしまう。

糖質を主食にしていると、ちょっとやそっとの運動ではまるで痩せない事実は、みなさんが実感しているとおりだ。私も30分以上のジョギングを週1〜2回していたが、体重は微増を続けて行った。

ところが糖質の摂取を抑えて、インスリンの追加分泌を減らせば、(糖質制限の程度にもよるが)運動をせずとも適正体重に近づいていく。

オキサロ酢酸の供給なら、なにも炭水化物を主食にする必要はない。インスリン追加分泌のデメリットのほうが遥かに上回ってしまう。

 

論の進め方がひどい

冒頭から、

ここ数年大流行の糖質制限ダイエット。

私の周囲にも糖質制限食をはじめて痩せたという人が多数います。

しかしながら見た目には体重ほど痩せて見えません。

 
と始まるが、「見た目には体重ほど痩せて見えない」というのは、執筆者の主観でしかない。

それはなぜでしょう?

ここであえて断言しておきますが、

糖質制限で体重は減ります。しかし脂肪よりも筋肉が減る可能性が極めて大きい。

 
主観を根拠に「それはなぜでしょう?」もへったくれもない。

私は5kg減でしかないが、仕事で会う人や長い付き合いの美容師に「顔つきがすっきりした」「体が薄くなった」「肌つやが良くなった」と次々に指摘された。

しかし、だから糖質制限は有効である、などと持論を展開したら、バカ丸出しである。

根拠にするのは主観や見た目ではなく、数字だ。私は糖質制限開始3ヶ月で、以下の状態になった。

【糖質制限開始3ヶ月でのタニタ体組成計データ】
男性34歳、身長174cm、運動らしい運動無し
体重65.0kg(ピーク時より-5.0kg超)
体脂肪率15.0%
筋肉量52.4kg(スコア0=平均的)
基礎代謝1536kcal / 日(20歳並み)

執筆者が提示すべきは、どのような糖質制限をした結果、脂肪がどれくらい減り、筋肉量はどうなったか、という科学的事実である。

もちろん、根拠など何もないはずだ。

適切な糖質制限をした結果として「脂肪よりも筋肉が減る」という人など、メカニズムを考えればまず想像できない。もし存在したら、タンパク質&脂質の摂取不足か、特異体質である。

 

筋肉が減った一例として紹介している方はエネルギー摂取不足

糖質制限で筋肉量が減る根拠として紹介しているのが、以下のブログだ。

おいしい思い出: 糖質制限食で筋肉が減る不思議

レクチン除去食を始めて3週間ちょっと。もともと、この試みは、穀類や豆類に多いレクチンをやめることで、体調が良くなるかどうか見るためのものだったのだけど、内容的にパレオダイエットに似ている、そして、パレオダイエットは糖質制限食でもある、ということから、ついつい、普段より動物性たんぱく質の摂取量が多くなってしまったの。

多い、といっても、一日に肉100−150グラム、卵2−3個だけどね。

で、はじめの2週間くらいは、この食べ方で調子良かったの。腹持ちがいいから、お腹がラクだったし。

同時に、体重が少し(2.5ポンドくらい、つまり、1キロちょっと)減った。。。ここが問題なんだ。

私のオムロン体重計によると、減ったのは9割がた筋肉なんだ。

糖質制限をしながら、動物性タンパク質の摂取量が「一日に肉100−150グラム、卵2−3個」というのは、いかにも少ない。レクチン除去で大豆も食べていないようなので、摂取エネルギー不足の疑いが濃厚だ。

また、こちらの記事には、
おいしい思い出: 私の糖質制限食の反省

だいたいのパターンは、

朝食:ヘンプ入りグリーンスムージー
昼食:野菜スープか野菜の蒸し煮や炒めものかサラダ。豆を、心がけて食べるようにしている(大豆でなく)。味付けに肉を使ったり、スープに卵を入れたりもする。
夕食:発芽玄米ごはんを軽く一膳、野菜料理(肉や卵や豆が入っていたりもする)魚は、いいのを見たときだけ、特別出演

とあり、かなり軽い食事を摂っている方だとわかる。

糖質制限で筋肉が減った、というケースで必ず確認すべきなのは、

1. 栄養失調ではないか?
2. 体組成計を適切に使用しているか?

という2点だ。

糖質制限は摂取エネルギー制限ではない。ブドウ糖の供給源である炭水化物を減らしたら、そのぶん、糖新生の材料となるたんぱく質と、エネルギー源となる脂質を増やさなくてはならない。

満足するまで食べるのは大前提だ(だから、肉や魚や卵などを食べるのがあまり好きではない方には、難しい)。

しかも、糖質制限をすると、代謝を抑制するインスリンの追加分泌が減り、なおかつ糖新生が活性化するため、基礎代謝が大幅に向上する。

糖質制限の効果2:基礎代謝が大幅に向上する | 炭水化物は嗜好品

必要なエネルギー量は増えるわけだ。

また、この方のケースでは、増減が1kg程度でしかない。体組成計の利用状況によっては、誤差と判断できるレベルである、という事実も忘れてはならない。

もちろん、見た目で腕が細くなった、などというのは論外だ。筋肉内脂肪が落ちれば、細くなって当然だからだ。

 

無責任な糖質制限否定

Twitterで執筆者と思われる方に絡んだところ、

という話が出てきた。

それが事実なら、ぜひデータを見てみたい。嫌味ではなく、新たな事実が発見される可能性がないとは言えないからだ。

そして、信頼できる新しい事実が発見されれば、糖質制限を認めているアメリカやイギリスの糖尿病学会や、スウェーデンなど欧米諸国を巻き込んだ大論争となり、充分なサンプル数を対象にした追試がなされるだろう。

ところが、

「どのようなスペックの方が、どのような糖質制限をして、体重と脂肪量と筋肉量がどのように変化したのか」というデータが、個人情報だと言うのだ。

目が点になってしまった。

判断は読者に委ねたいと思う。

 

ここまで何一つ正しいことが書かれていない記事も珍しい

しかし人間が生きていく上で炭水化物がとても重要だから世の中には炭水化物がたくさん存在するということを肝に銘じてください。

この理屈では、コンビニやスーパーに山ほど売っているスナック菓子やジュースも、人間が生きていく上で重要だから存在することになる。

世の中に炭水化物がたくさん存在するのは、炭水化物に安価で大量生産できるという性質があるためだ。また、コカインと同様にドーパミンを放出させ(M・クーハー「溺れる脳」参照)、常習性があり、満腹感を得やすいからだ。

 

主食を減らしすぎると活力が低下し、有酸素運動も、筋トレもおろそかになります。

少なくとも私には活力の低下は見られない。むしろ睡眠時間が少なくても活動できるようになり、仕事の能率が上がった。体が軽くなったおかげで、運動したくてたまらない衝動も生まれている。

そもそも “活力” の有無などは、各種臓器の調子、自律神経、睡眠時間まで影響してくる。糖質制限の悪影響であると断定できる神経がわからない。憶測なら憶測だと明記するべきだ。

 

そして極度に炭水化物を削ると、体臭、口臭の悪化と集中力の低下を招くことも多く報告されていますね。

ケトン臭のことを言っているのだろう。数ヶ月経って体が低糖質に慣れればケトン体は減り、解消される。

そもそも、糖尿病等の治療でない限り、いきなりスーパー糖質制限をするメリットは薄い。ケトン臭が気になるのであれば、ゆるい制限から始めれば済む話だ。

 

事実に目を向ける重要性

ものすごく好意的な見方をしよう。

健康な肉体を作りたい方の為の情報サイト「SIXPACK(シックスパック)」の主旨である “筋肉を増やす” 目的があるのであれば、糖質制限が足かせになる可能性はあるだろう(そのような書き方は一切されていないが)。

私は筋トレには詳しくないが、エネルギーの摂取・利用を最適化してしまうよりは、ある程度の余剰を持たせた方が、筋肉を肥大させやすいのではないか、とは想像する。

流行に踊らされず、一生続けられるトレーニングペースを見出しましょう!

「一生続けられるトレーニングペースを見出す」に異論は無い。

が、留意すべきは「流行に踊らされない」ということではない。

古くて誤った栄養学に安住せず、事実にしっかり目を向けることだ。

自分のやり方だけが正しいという盲信が、あのような無責任極まりない記事を生む結果になる。

「●●が一番安全」

そういう価値観の人もいるだろう。

飛行機があるのに、安心だからと徒歩で行くのも選択肢一つである。

が、飛行機のほうが合理的で、生活が豊かになるという人も存在するのだ。

この事実を忘れないでいただきたい。徒歩を守るために飛行機を攻撃するなど、もってのほかだ。

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2 comments

  1. 「炭水化物がないと脂肪が燃えない」は完全な間違い
    とのことですが、このこと自体は正しいと思います。
    夏井先生のところにも投稿させて頂きましたが、こちらのサイトhttp://hobab.fc2web.com/sub4-metabolism.htmより、
    “脂肪酸分解(β-酸化)により生成されるアセチル-CoAが、TCA回路で代謝(燃焼)される為には、糖質から生成されるオキサロ酢酸が必要(脂肪は、糖の炎によって燃える)。”
    という記述があり、生化学的に間違いないと思います。
    問題は、糖質制限で入ってくる微量の炭水化物あるいは糖新生によって十分賄えるため、わざわざ穀物を食べて炭水化物を摂取する必要がないということですね。
    この記述を書いた人が、糖の炎で脂肪が燃えることをご存じだったかは図りかねますが、批判を糺す目的の人は知っておいた方が良いと思いますのでコメントさせて頂きました。

    • 明人さま

      なるほど、ここでの炭水化物=主食と捉えるか、糖質と捉えるかで、解釈が変わってきますね。後ほど、記事中に補足させていただきます。

      コメントありがとうございました。ぜひまたいらしてください。

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